遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
BRCA2の病的バリアントを有する切除不能進行膵臓癌患者とその血縁者に対する遺伝カウンセリングの経験
井上 慎吾鈴木 哲也浅川 真巳芦沢 直樹中田 晴夏中山 裕子矢ケ崎 英晃石黒 浩毅斎藤 亮平山 和義古屋 信二白石 謙介庄田 勝俊赤池 英憲河口 賀彦細村 直弘雨宮 秀武川井田 博充市川 大輔
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2023 年 22 巻 4 号 p. 112-116

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抄録

 切除不能進行膵臓癌に対する生殖細胞系列におけるBRCA1/2の遺伝学的検査は,PARP(poly ADP-ribose polymerase)阻害薬の適否を決めるコンパニオン診断として認可を得たが,遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome ; HBOC)の確定診断にもなることが十分に認識されていない.BRCA2の病的バリアントを有する切除不能進行膵臓癌2例の遺伝カウンセリング(genetic counseling ; GC)を経験した.症例1は,60歳代女性の発端者で検査前後2回のGCが契機で,血縁者に前立腺癌が発見された.症例2は検査結果判明後に,60歳代男性発端者の娘と息子がGC目的で来談した.初めて遺伝性腫瘍と知り動揺をみせ,その後来談していない.GCは検査前から必要で,血縁者内でHBOCの認識を共有すべきである.

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© 2023 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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