遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
当院における乳房MRIガイド下生検の導入について~遺伝性乳癌卵巣癌診療への重要性~
岩本 奈織子鈴木 瑞佳高木 康伸堀口 慎一郎有賀 智之
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 23 巻 3 号 p. 114-118

詳細
抄録

 BRCA1/2遺伝学的検査は,PARP(Poly ADP-ribose polymerase)阻害薬のコンパニオン診断から遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer;HBOC)の診断まで広く晋及しつつある.今後,BRCA1/2遺伝学的検査数の増加と,それに伴いBRCA1/2病的バリアント保持者の増加が見込まれる.BRCA1/2病的バリアント保持者では,年に1回の乳房造影MRI検査でのサーベイランスが推奨されている.MRIでのみ描出される病変に対しては,MRIガイド下生検(MRI-guided vaccuum-assist biopsy;MRI-VAB)が必要となるため,MRIを行う際にはMRI-VABが可能な施設との連携が望ましいとされている.しかしながら,実際に保険診療でMRI-VABを行っている施設は少ない.当院では2022年6月からMRI-VABを開始し,2023年5月までの期間においてMRI-VABを6例に施行した.患者の年齢は30~60代であり,半数は悪性であった.1例は,BRCA2病的バリアント保持者で非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)と診断されたHBOC症例であった.今回,われわれはMRI-VABの導入時に必要であった準備と過程を報告する.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top