遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
保険収載後にBRCA1/2遺伝子検査を考慮した乳癌患者における遺伝学的検査の受検に関する実態調査
櫻井 彩乃菅原 ますみ後藤 景子渡辺 基子岡村 仁北村 裕梨中井 克也飯島 耕太郎岡崎 みさと魚森 俊喬崔 賢美村上 郁櫻井 晃洋齊藤 光江新井 正美
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 23 巻 3 号 p. 74-83

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抄録

 BRCA1/2遺伝子検査が保険収載後に,本検査受検を考慮した乳癌患者の実態調査を行った.順天堂大学医学部附属順天堂医院乳腺センターにて,保険適用でのBRCA1/2遺伝子検査を提案された外来通院中の乳癌患者31名(受検者29名,非受検者2名)を対象に,検査時と結果開示後に調査を実施した.BRCA1/2遺伝子検査の保険収載は受検を明らかに促進していた.同胞や子どもを心配し受検をした対象者がもっとも多く,受検者の90%以上が血縁者への情報伝達を予定していた.血縁者への情報提供やキャリア診断の遺伝カウンセリング体制も整備する必要性が示された.また病的バリアントが検出されなかった約半数の対象者でネガティブな情緒の変化である「総合的気分状態」の上昇がみられた.乳癌診療や遺伝カウンセリングにおいては,病的バリアント非保持者でも心理支援を考慮すべき対象者がいることが示された.

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© 2023 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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