水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会/日本水文科学会 2023年度研究発表会
セッションID: PP-1-1-41
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ポスター発表
浸水想定区域図と標高図を持って自治体担当者と現地確認することによる避難判断支援
*山本 太郎鈴木 章弘山田 朋人
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抄録

流域治水では計画規模を上回る洪水が発生し河川から氾濫が生じることを起こり得ることとしており、洪水氾濫での人的被害を軽減させるためには地域住民の避難行動を確実にする必要がある。住民への避難指示は自治体が行うが、自治体の災害担当者が必ずしも技術系の職員とは限らず、氾濫や浸水に対する知識や経験が十分ではないこともある。避難指示では基準となる水位等のリアルタイム情報で判断するが、自治体担当者が浸水想定区域図に示されるような地域の氾濫がどのように発生するかを技術的根拠をもって理解していると判断がより確実になる。自治体の避難判断支援のために自治体と地域の研究者・技術者が連携して取り組んでいく方法として、浸水想定区域図を標高図と合わせて見ながら現地を確認することで地域で起こり得る氾濫イメージを地域で共有する方法を検討している。 十勝川流域の上流部にある新得町、中流部の芽室町、下流部の浦幌町で各自治体の担当者及び関係者でそれぞれの地域の浸水想定区域を確認し、想定されている浸水がどのように生じるのかをイメージして共有した。上流域では地形勾配が急で氾濫した水の流れが速いことが標高図と現地確認でわかった。中流部では地形の目視で氾濫区域が理解できたが、細かな地形は目視ではわからず標高図を見ることでイメージが可能だった。下流部では低平地で浸水想定区域図では氾濫区域が一面の浸水になるイメージとなるが、標高図で細かな地形を確認することでそのなかでも先に浸水する場所と広がり方がイメージできた。 このように、浸水想定区域図と標高図をもって自治体担当者と専門技術者・研究者が一緒に地域を確認することで、その地域で発生する氾濫被害がよりイメージしやすくなり、これが自治体の避難判断のサポートになると考えている。

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