主催: 水文・水資源学会/日本水文科学会
会議名: 水文・水資源学会/日本水文科学会 2023年度研究発表会
開催地: 長崎
開催日: 2023/09/03 - 2023/09/06
鉄道分野における雪害のひとつに,冬期に鉄道車両の床下への着雪による落雪時の地上設備の損壊,分岐器の不転換,降雪時の架線への着雪などによる集電障害が発生し、安定輸送が損なわれることがある.車両床下や架線への着雪は,雪の乾/湿に影響を受けるため,地上付近での降雪粒子の乾/湿を精度よく判別することが重要である.上空の熱収支を考慮した融解モデルを利用することで,地上での降水粒子の粒径,落下速度,含水率を推定することが可能である.融解モデルの検証および高度化を目的に,ドローンを用いて融解層内の温湿度の鉛直プロファイルの取得を試みた結果,ドローンによる気温,相対湿度のばらつきが大きく,ドローン観測データの品質管理が必要であることが示唆された.そこで,本研究では,ドローンで取得した観測データの妥当性を検証することを目的に,ドローン観測,標高差を利用した地上気象観測に加え,ラジオゾンデによる高層気象観測を実施した.その結果,地上付近から上空までの気温の鉛直プロファイルは概ね一致していたが,相対湿度は各観測値に乖離があることが確認された.その要因として,プロペラの回転に伴うダウンウォッシュが考えられる.以上のことから,ドローン観測においては,センサの取付位置を再度検討する必要があることが示唆された.