抄録
近年,Krylov部分空間法の前処理として陰的wavelet近似逆行列前処理(IW-SPAI)が提案された.この前処理行列は,finger patternと呼ばれる非零構造を持ち,多数の小規模な最小二乗問題を解くことにより構築される.本論文ではIW-SPAIを改良することを目的とし,そのfinger patternをブロック化することにより,最小二乗問題で用いられるQR分解の結果を再利用し,QR分解の回数を削減することで,効率良く前処理行列が構築されることを示す.そして,数値実験でその有効性を検証する.