日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
胃全摘・脾摘後に発症したVibrio vulnificusによる壊死性筋膜炎の一救命例
江田 陽一藤田 基金子 唯宮内 崇井上 健鶴田 良介笠岡 俊志前川 剛志
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2011 年 18 巻 1 号 p. 67-72

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抄録
肝疾患および糖尿病などの危険因子はないが,胃全摘・脾摘の既往がある患者に発症したVibrio vulnificusによる壊死性筋膜炎に対し,両側下腿切断術とエンドトキシン吸着療法を施行し救命し得た。症例は67歳,女性。両側下腿の蜂窩織炎・敗血症性ショックの診断で当センターに転院搬送された。9年前に胃癌に対し胃全摘と脾・膵尾部合併切除術が行われたが,再発はなかった。身体所見と魚介類の生食歴から本疾患を疑い,抗菌薬を開始した。血圧は輸液・昇圧薬に反応せず,皮膚所見の拡大と全身状態の悪化を認めたため,来院から8時間後,両側下腿切断術を施行した。術後にエンドトキシン吸着療法を2回施行し,ショックを離脱した。第12病日には全身状態良好となり転院となった。本疾患の危険因子の一つとして胃切除および脾摘の既往を考慮する必要があり,救命のためには早期の外科的治療の決断が重要であると考えられた。
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© 2011 日本集中治療医学会
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