日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
両側尿管結石と重症急性膵炎の同時発症を契機に診断された若年者原発性副甲状腺機能亢進症の1例
田中 進一郎布宮 伸和田 政彦三澤 和秀鯉沼 俊貴小山 寛介
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2011 年 18 巻 4 号 p. 617-622

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抄録
原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism, PHPT)は稀に急性膵炎の原因となる。今回,我々はPHPTによる高Ca血症により,両側尿管結石と重症急性膵炎をほぼ同時に発症した若年男性の1例を経験した。患者に特記すべき家族歴,既往歴はなく,飲酒は機会飲酒のみであった。腰痛と腹痛で発症し,両側尿管結石の診断で前医に入院となったが,入院時より高Ca血症を認めていた。第4病日に急性膵炎を発症し,一時軽快したが,第15病日に再燃した。意識障害と血清アミラーゼ値の著増を呈したため,第17病日に当院に緊急搬送されICUに収容された。患者は重症急性膵炎の診断基準を満たし,高度の多臓器不全を呈したが,集中治療により救命された。高Ca血症のコントロールに難渋したが,パミドロン酸が有効だった。ICU入室24日目に一般病棟に退室し,精査の後に副甲状腺腫摘出術と経尿道的尿管結石除去術が行われた。
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© 2011 日本集中治療医学会
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