抄録
Extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)により救命した自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia, AIHA)の生後2ヵ月女児例を報告する。顔色不良を主訴に前医受診し,貧血を指摘された。直接Coombs試験陽性で交差適合試験適合せず,無輸血で当院へ搬送された。来院時は呼吸窮迫,ショックの状態で,気管挿管,O型Rh+赤血球輸血,急速輸液を施行した。初診時のHb 1.6 g/dl,血液ガス分析はpH 6.76,BE-27.7 mmol/l,乳酸値22.0 mmol/l,心エコーで著明な左室収縮障害を認めた。カテコラミン治療でショックから離脱できず,来院5時間後にECMOを導入した。ECMO治療はショックに有効で,第5病日に離脱し,明らかな神経学的後遺症なく退院した。ECMOにより救命したAIHAの心原性ショック例の報告はない。重症AIHAにはECMOを含めた集中治療が薦められる。