2015 年 22 巻 5 号 p. 439-442
症例は4歳,男児。既往歴や家族歴は特にない。外出しようとした玄関先で失神し,9分後救急隊車内収容時に心肺停止であったため蘇生が開始された。心停止から30分で自己心拍が再開した。蘇生時の頻回の多形性心室頻拍と,それに続く心室細動からカテコラミン誘発性多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia, CPVT)を疑い,遺伝子検査で常染色体劣性遺伝のcalsequestrin 2(CASQ2)遺伝子異常を2ヵ所認め,確定診断に至った。神経学的後遺症を残したものの,現在β遮断薬内服で再発作を認めず管理している。診断や薬効評価に関して,幼児では運動負荷検査の実施が難しいため,ホルター心電計装着下で家族と共に運動させるなどの工夫が必要である。