抄録
急性喉頭蓋炎は,気道閉塞の危険がある救急疾患であり,救急現場では,緊急気道確保の要否の判断が求められる。しかし気道確保の適応基準は,未だ明らかではない。今回,気道確保を要する急性喉頭蓋炎の臨床像を明確化するため,当院に入院した急性喉頭蓋炎患者について後方視的観察研究を行った。62例を調査し,気道確保は10例(16.1%),その中で外科的気道確保は6例(9.7%)あり,症状出現から48時間以内に救急外来で施行された。気道確保群は非気道確保群と比較し,単変量解析にて,喫煙歴,喉頭感染の既往,糖尿病など7項目で有意差を認めた。多重ロジスティック回帰分析にて,気道確保に影響を与える因子は,喫煙歴,発語困難,時間外受診の3項目であった。急性喉頭蓋炎の診療には気道緊急リスクを評価し迅速に気道確保ができる管理体制が必要であるが,本研究の結果からは,喫煙歴,発語困難,時間外受診が気道確保の関連因子であることが示された。