日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
冠動脈形成術を要した造影剤によるKounis症候群II型の1例
須賀 将文井上 彰高場 章宏有吉 孝一瀬尾 龍太郎吉澤 尚志加地 修一郎古川 裕
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2017 年 24 巻 3 号 p. 341-344

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抄録

Kounis症候群は,肥満細胞の活性化によりアレルギー反応と急性冠症候群が同時に発生する疾患である。症例は66歳,男性。特記すべきアレルギー歴はない。椎骨動脈解離フォローアップの頭部血管CT施行後に意識障害・血圧低下・全身の膨疹が出現した。アドレナリン投与にて症状は改善したが,診療中に胸痛が出現し,心電図で前胸部誘導のST上昇を認めたため,Kounis症候群と診断した。冠動脈造影では3ヵ月前に留置されたステントの血栓性閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した。造影剤によるKounis症候群では,検査・治療に原因物質の造影剤を使用せざるを得ない状況となる。本症例ではステロイド投与下に,アナフィラキシーの再燃を来すことなく,経皮的冠動脈形成術を施行できた。アナフィラキシーを診療する際にはKounis症候群を念頭に置く必要がある。また,造影剤によるKounis症候群でもアナフィラキシー対策下に冠動脈造影を行うべきである。

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© 2017 日本集中治療医学会
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