日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
外国人旅行者の心室細動二次予防に着用型自動除細動器が有用であった一例
市村 研三西原 正章向井 靖上徳 豊和徳田 賢太郎赤星 朋比古筒井 裕之田口 智章
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2019 年 26 巻 5 号 p. 385-390

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抄録

近年,我が国では海外からの旅行者が急増し,外国人の救急搬送患者への対応に苦慮することが多い。今回,着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator, WCD)を有効に活用できた外国人旅行客の一例を報告する。症例はタジキスタン在住の72歳,女性。観光で訪日中に心室細動を発症,病院前にて自己心拍再開したが,当院搬送時は昏睡状態であった。緊急冠動脈造影検査にてSeg. 6慢性完全閉塞,Seg. 2で99%狭窄を認め,Seg. 2へ経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention, PCI)を行った。その後,低体温療法復温終了時に意識レベルが改善するとともに心室性不整脈の再発を認めたため,Seg. 6へのPCIを追加した。心室細動の二次予防として植え込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator, ICD)の適応があると判断したが,タジキスタンではICDが普及しておらず,また無保険で医療費が極めて高額になっていたことから,ご本人はICD植え込み術を希望されず,WCDを導入しての帰国となった。

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© 2019 日本集中治療医学会
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