日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
MRSAの増殖に及ぼすpHの影響
丸川 征四郎尾崎 孝平藤田 啓起山内 順子池本 晶子横田 好子
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 1 巻 1 号 p. 27-30

詳細
抄録

pHがMRSA増殖に及ぼす影響について実験的検討を行なった。MRSAの増殖は酸性環境で抑制され,抑制の程度は酸性度に比例することが確認できた。すなわち,MRSAはpH4以下の培地ではほとんど増殖せず,特にpH2およびpH3の培地には殺菌的な効果が認められた。また,pH5の培地中でもMRSAの増殖はpH7に比べ著しく抑制され,pH6でも抑制される菌株が存在した。われわれはすでに,重症MRSA腸炎がpH2の希塩酸を消化管内に投与することで改善可能であると報告したが,今回の成績によってこの臨床治療経験の妥当性が証明された。pH2~3の希塩酸は表在性感染症に限定されるが,耐性菌の発生を回避する治療手段として,抗生物質と並用して活用すべき治療法と考えられる。

著者関連情報
© 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top