日本集中治療医学会雑誌
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バソプレシン持続投与が著効したカテコラミン不応性敗血症性ショックの1症例
小川 寛恭黒田 泰弘横田 治関 啓輔小倉 真治
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2004 年 11 巻 4 号 p. 461-465

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抄録

近年,バソプレシンは敗血症性ショックにおいて,カテコラミンに代わる血管収縮薬として注目されている。今回我々はカテコラミン不応性敗血症性ショックに対しバソプレシン持続投与が著効した症例を経験した。患者は79歳女性,肺炎による呼吸困難で救急来院後,急速に敗血症性ショック状態となった。循環動態は輸液負荷およびカテコラミンの大量投与にも反応せず不安定であったが,バソプレシンの持続投与開始直後から血圧は上昇しカテコラミンを減量し得た。また,バソプレシンの副作用とも考えられるALT, AST, LDH, total bilirubin (T-bil)の上昇,血小板減少を認めたが早期に正常化し特に問題なく,臨床経過は良好で第16病日に独歩で退院した。カテコラミン不応性敗血症性ショックにおける循環動態の維持にバソプレシン持続投与が有用であることが示唆された。

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