抄録
再狭窄というアキレス腱を克服すべく開発された薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent, DES)は最初の臨床治験(RAVEL study)で従来の金属ステントに比して劇的に良好な成績(6ヶ月後の再狭窄率:0%)を収めてデビューした。引き続いての臨床治験における血管内超音波検査を用いたサブ解析で,DESによる治療群では8ヶ月の遠隔期でも新生内膜増生が著しく遅延し,有意に大きな血管内腔を確保できると報告された。再狭窄克服の可能性を有する薬剤溶出性ステントの導入は心臓病治療に劇的な変化をもたらしつつあり,実際の心臓病治療の現場では適応拡大が幅広く行われつつある。最近,RAVEL studyから3年後の成績が報告された。本報告はステント治療後の成績を二重盲検で検討した最初の報告であり,治療の安全性と効果が3年間に亘って持続することを示した。本稿ではこのように進歩の著しい経皮的冠動脈形成術治療の現況と問題点を概説した。