心理学における「ニード論」,「ストレス-コーピング理論」について紹介し,看護での捉え方や使い方について述べる。患者は,病気によるさまざまな制約により自分でニードを充足することが困難で,人間としての営みを続けることが妨げられている。看護では,病気を持った患者のニードに焦点を当て,基本的なニードが充足するための援助を行なっている。今回は,ニードに焦点を当てた看護論の中から,ヘンダーソンのニード論を紹介し,ニードに対する看護の進め方を論述する。また,患者は病気によって,さまざまなストレスに遭遇している。ストレスの持続は,身体的・心理的に患者を脅かし,病気の回復を遅らせるだけではなく,身体的・心理的に危機的な状況を引き起こす。看護では,患者がストレスに対して効果的なコーピングができるように援助している。今回は,ラザルスらのストレス-コーピング理論を紹介し,看護の進め方を論述する。