日本集中治療医学会雑誌
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集中治療における経皮二酸化炭素分圧と動脈血酸素飽和度同時測定システム(TOSCA(R))の使用経験
升田 好樹今泉 均黒田 浩光名和 由布子岩山 祐司巽 博臣買手 順一浅井 康文
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2006 年 13 巻 4 号 p. 473-477

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抄録

経皮二酸化炭素分圧(PtcCO2)測定とパルスオキシメータの小型センサーを同時に搭載した耳朶センサーを用いた測定装置TOSCA(R)(Linde社,スイス)の集中治療室での使用経験を報告した。対象はICUに入室した12症例の重症患者とし,左右いずれかの耳朶にセンサーを装着し,PtcCO2およびSpO2を測定した。適宜動脈血ガス分析を行い,PaCO2とPtcCO2とを比較検討したところ,相関係数0.95と良好な相関関係が得られたが,PaCO2が50mmHg以上ではPtcCO2がPaCO2よりも高くなり解離していく傾向があった。測定に伴う重篤な合併症はなく,体位変換に伴う体動でも測定が可能であった。ノルエピネフリン投与後PtCO2とPaCO2とが解離する症例があった。TOSCA(R)を用いたPtcCO2は,実測値と比べ若干高値に表示されるものの追従性も良く有用と考えられるが,重症患者における低灌流状態でのSpO2を含めた検討がさらに必要である。

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