日本集中治療医学会雑誌
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急性血液浄化法の現状と展望
特に高サイトカイン血症に対する適応に関して
篠崎 正博中 敏夫森永 俊彦
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1998 年 5 巻 4 号 p. 357-363

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抄録
急性血液浄化法が高サイトカイン血症に対して有効かどうかについて述べる。
持続血液濾過/持続血液濾過透析(CHF/CHDF)によるサイトカインのクリアランスは小さく,その除去率は生体内での代謝除去率にくらべわずかであり,その膜刺激はサイトカインを産生することなどから,CHF/CHDFはサイトカインの除去に関しては有用な方法ではない。CHF/CHDFによるクリアランスはほとんどが膜への吸着によるので,膜吸着を増加させるカラム血流量の増加および膜面積の増加はサイトカインを低下させるかもしれない。しかし,大孔径膜によるサイトカイン濾過を増加する試みも,血中のサイトカイン濃度を低下させない。また,CHF/CHDFは炎症性サイトカインのみを選択的に除去するのではなく,抗炎症性サイトカインも除去する。血漿交換(PE)およびポリミキシンB固定化カラム(PMX)による血液浄化法も血中サイトカイン濃度を低下することは証明されていない。CHF/CHDF,PE,PMXは高サイトカイン療法に有用ではなく,これらの有用性を証明するには,多施設の無作為対照臨床試験が必要である。
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