日本集中治療医学会雑誌
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アセタゾラマイドによる炭酸脱水酵素活性低下時の細胞内pHとCa++の変化
瀧 健治能見 光雄片野 光男加藤 博之吉田 聖妙川渕 久司
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1998 年 5 巻 4 号 p. 373-377

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抄録
[目的]炭酸脱水酵素が内呼吸で産生されたCO2の細胞内量を制御して,細胞内pH(pHi)とCa(Ca++i)を調節していることを実証する目的で,培養細胞のpHiとCa++iを測定した。
[方法]ヒト胃癌細胞株(MK-1細胞)をアセタゾラマイド(acetazolamide,AZ)の添加した培養液と無添加培養液で培養し,pH用蛍光色素(BCECF)とCa++用蛍光色素(fura2)で各々の単一細胞内pHとCa++をmicrospectro fluorometerで測定した。
[結果]細胞外pH(pHe)が7.35~7.45の範囲でpHeに対するpHiとCa++iの回帰直線を比較検討すると,AZを添加して培養したときにpHiとCa++iはAZ無添加培養時より低くなっていた。
[結論]AZの添加培養はpHiを下げ,Ca++の細胞内取り込みを低下させることが確認され,炭酸脱水酵素は細胞内CO2量を調節してpHiとCa++iを制御し,細胞機能を制御していることが示唆された。
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