日本集中治療医学会雑誌
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持続的血液濾過透析による敗血症性腎不全時の血中フォスフォリパーゼA2除去に関する検討
寺尾 嘉彰橋本 茂中村 治正長谷場 純敬矢野 捷介澄川 耕二
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1998 年 5 巻 4 号 p. 385-388

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抄録
II型フォスフォリパーゼA2(PLA2)は敗血症時に活性化されるので,持続的血液濾過透析(CHDF)によるPLA2の除去について検討した。対象は当院集中治療部で敗血症性腎不全に対してCHDFを行った6症例である。CHDFはポリアクリルニトリル(PAN)膜を使用し,血流量60~100ml・min-1,濾過流量・透析液流量500ml・hr-1,補液流量350~500ml・hr-1とした。採血はCHDF開始前,開始12時間後,開始24時間後に行った。動脈血PLA2活性のCHDF開始後の変化は有意でなかった。24時間後には,脱血側のPLA2活性が,送血側よりも有意に高値であった。濾過からみたクリアランスは12時間後で0.09±0.06ml・min-1,24時間後で0.15±0.15ml・min-1であった。血液からみたクリアランスは12時間後で27±29ml・min-1であり,24時間後で23±12ml・min-1であった。CHDFによって血中のPLA2はある程度除去されると推測されたが,血中の活性値は有意な変化を認めなかった。PLA2除去を血液浄化法によって行うためには,さらなる研究が必要である。
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