抄録
我が国の病院外心停止患者の現状を分析し,21世紀の心肺脳蘇生法を展望した。
早期に社会復帰が可能な,目撃者のいる心原性心停止例の転帰は,我が国では極めて不良であった。この原因として,遅い119番通報,低い一般市民による心肺蘇生法(CPR)実施率,低い救急現場での電気的除細動成功率が挙げられた。21世紀,かかる患者の予後を向上させるには,早い携帯電話での通報,簡単な心臓マッサージのみCPRの一般市民への普及,高性能かつ簡便な全自動除細動器(AED)の救急車・公共施設・会社へ配備,心停止に陥った現場で心拍を再開,病院収容後は脳蘇生を柱とした蘇生後症候群の対策,を展開することが必要と考えた。2000年に報告されたevidence based medicineに基づくCPRガイドラインでは,低体温療法の効果はClass Indeterminateに分類されたが,自験例ではすでに52%の社会復帰率を達成している。