日本集中治療医学会雑誌
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活性酸素/フリーラジカル
基礎から臨床まで
陳 儀小濱 るり子中澤 博江
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2002 年 9 巻 4 号 p. 361-367

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抄録
活性酸素/フリーラジカルによる障害はヒドロキシラジカル(OH-)による過酸化反応に加え,一酸化窒素(NO・)とその派生物によるニトロ化反応の影響を考慮する必要がある。特にスーパーオキサイド(O2-)とNO・との反応によって生じるパーオキシナイトライト(ONOO-)は芳香族アミノ酸に親和性を持ち,これをニトロ化する。なかでもタイロシンはニトロ化されやすく,ニトロタイロシンが生成される。タイロシンは生体内蛋白には比較的多く存在するアミノ酸残基であり,またタイロシンキナーゼのターゲットでもあることより,このニトロ化の病的意義は大きいと思われる。脳虚血・再灌流やARDSなどの動物実験において梗塞部や肺組織でニトロタイロシン生成が示されている。臨床でも敗血症ショック症例の血漿中で増加することや,動脈硬化巣内にも認められる成績がある。別に活性酸素/フリーラジカルは低濃度では細胞内のレドックスを変化させることにより細胞内情報伝達を制御する機能も持つ。
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