日本集中治療医学会雑誌
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大学附属病院における院内発症心肺蘇生成功例の予後
稲垣 喜三齋藤 憲輝永井 小夜廣澤 寿一石部 裕一
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2002 年 9 巻 4 号 p. 379-384

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抄録

鳥取大学医学部附属病院において,1991年1月から1999年12月までに院内で心肺蘇生を受け,集中治療部(ICU)に収容された40例の入院患者の予後とその要因を後ろ向きに調査した。40例中20例がICUを生存退室した。このうち,14例が軽快退院,1例が症状不変,5例が56日(中央値)で院内死亡の転帰をとった。軽快退院した14例の生存率は,退院後1年が100%,2年が86%,4年から7年までが57%であった。心肺蘇生開始時の心電図がVF/VTであった患者は,生存退室群で9例(45%)と,死亡退室群の1例(5%)と比較して有意に多かった(P=0.0035)。また,生存退室群では,自己心拍再開までの時間が死亡退室群と比較して有意に短かった(P<0.001)。ICU入室時の意識レベルも,生存退室群で良好であった(P=0.0095)。死亡退室群(60%)の方が生存退室群(25%)に比して,70歳以上の高齢者が占める割合は有意に高かった(P=0.025)。ICUにおける合併症発生率は,生存退室群で有意に低かった(P=0.0132)。患者予後に影響する要因として,70歳未満,早い自己心拍再開,良好な意識レベルとICUにおける合併症発生の少なさが示唆された。

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