2026 年 44 巻 2 号 p. 31-42
本研究は、トークンプラットフォーム「FiNANCiE」を基盤とする官民共創DAO(分散型自律組織)が、オンライン上の分散的な参加を地域実装へと接続する媒介的な運用枠組みとして、いかに機能しているのかを検討するものである。ICTを活用した市民参加や関係人口の形成が注目される一方、プラットフォーム上の合意を制度や責任主体を伴う政策過程へと接続するガバナンス構造は十分に解明されていない。本研究では伊豆地域で展開される「伊豆ファン倶楽部トークン」を対象に質的分析を行った。分析の結果、官民共創DAOは、分散的創発を担うオンライン層と行政などからの承認や事業実装を担うオフライン層が分化し、事務局による翻訳・調整を介して接続される「二層的ガバナンス」として把握できることが明らかになった。オンライン上の支持を地域実装へ接続する媒介機能の設計が、アイディアを既存の制度などと適合させ、地域に実装するために重要であることを示す。