2011 年 79 巻 6 号 p. 441-448
本研究では,カドミウム(Cd)浄化用冬型植物としてのハクサンハタザオの黒ボク土壌の畑地への適用性を検討するため,Cd含有レベルの異なる2箇所の圃場において3箇年の栽培試験を行った.また,栽培試験においてハクサンハタザオの収穫物(地上部)の乾物重量,Cd吸収量及び土壌Cd含有量の変化について測定を行った.その結果,3作という期間内において収穫物の乾物重量は大きく変動しなかった.また,ハクサンハタザオの1作あたりのCd吸収量は,A圃場(全Cd含有量:4.9 mg・kg-1)で927-1,408 g・ha-1,B圃場(全Cd含有量:1.4 mg・kg-1)で122-259 g・ha-1であった.この吸収量は,これまで国内で報告されている浄化用植物によるCd吸収能力とほぼ同等であった.このため,ハクサンハタザオは冬型のCd浄化用植物として有望と考えられた.