農業農村工学会論文集
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研究論文
イシガイ科二枚貝の宿主ヌマムツNipponocypris sieboldiiの移動距離
近藤 美麻伊藤 健吾千家 正照
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2012 年 80 巻 6 号 p. 515-521

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抄録
イシガイ科二枚貝の移動能力は極めて低い.そのため,イシガイ科二枚貝の長期的な個体群維持に重要であると考えられる生息域の拡大や生息地間の再生産交流には,幼生期の宿主である魚類の移動が大きく貢献する.そこで本研究では,水田地帯の河川および排水路において,イシガイ科二枚貝幼生の宿主であるヌマムツを対象として移動距離を調査した.その結果,日数を説明変数とした移動距離の推定式y=exp(6.50+0.06x)を得た.また,本式より幼生の寄生期間を7日間とした場合のヌマムツの移動距離を推定した結果1,040mとなった.これより,新たにイシガイ類の保全地を整備する場合,既存の生息地から1,000m程度離れた場所に設置すれば,ヌマムツがその間を移動することが可能となり,イシガイ類の長期的な個体群維持に有効であると考えた.
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© 2012 公益社団法人 農業農村工学会
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