農業農村工学会論文集
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研究論文
ため池コア材への旧堤体土・底泥土再利用に関する一考察
―兵庫県下における老朽化ため池を事例として―
鈴木 麻里子河端 俊典内田 一徳
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2013 年 81 巻 2 号 p. 171-176

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抄録
全国に21万個,兵庫県に4万個以上あるため池の多くが老朽化という問題を抱えており,地震や台風などによって大きな被害を受けている.そこで早急な改修が必要であるが,ため池改修を実施する上で,適切なコア用土の確保が現在の課題として存在する.また,築造年代が古く老朽化したため池には,池底に汚泥が堆積しており,悪臭や貯水量低下の原因となっている.そこで,本研究では,環境に優しく安価で力学的に安定したコア用土を得るために,現場発生土である底泥土と旧堤体盛土材の再利用を検討した.底泥土と旧堤体盛土材の適切なブレンド割合を明らかにするために,混合土に対して一軸圧縮試験と透水試験を実施するとともに,生石灰や産業廃棄物であるフライアッシュの有用性を検討した.また,現場適用を考慮し,大型混練機による現場試験を実施し混合土のバラツキを評価した.各実験の結果,底泥土と旧堤体盛土材の混合土はため池コア用土として十分な強度と遮水性を有し,再利用の可能性が示唆された.
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© 2013 公益社団法人 農業農村工学会
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