水路の維持管理へ非農家住民に参加して貰うためには,彼らの参加を促す適切な要因に働きかけることが重要である.この観点から,複数の先行研究において,参加に対する影響要因が分析されている.しかし,同じ要因が,影響要因とされる研究と,されない研究があるため,先行研究の知見を基に他の地区で影響要因を検討することが難しいという問題がある.そこで,本報では,質問紙調査データを統計分析した先行研究7件・10ケースに着目し,影響要因分析の現状を分析した.その結果,統計的有意性を基に影響要因を選択した8ケースでは,①対象要因ごとに平均すると64%のケースで影響を与える理由が示されていない,②そのため,影響要因と被影響要因との関係に理論的な整合性がない場合と影響が小さい場合を区別できない,③したがって,影響を与える理由を示すことが課題であることを示した.