農業農村工学会論文集
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研究論文
韓国近代前期における河川灌漑田の利水安全度
李 相潤石井 敦申 文浩谷口智之佐藤 政良
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2017 年 85 巻 1 号 p. I_105-I_115

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抄録
韓国を対象に, 近代前期における主要河川流域の河川灌漑田の利水安全度を求め, 日本と比較してその開発過程の特性を考察した.河川灌漑田の利水安全度は, 主要河川の生起確率ごとの夏期渇水時流量によって灌漑可能な水田面積を算定し, これと文献資料より得た実際の韓国近代前期の河川灌漑田面積とを比較して求めた.結果として以下が明らかになった.1)韓国の主要河川の夏期渇水時比流量は日本と比べ極めて小さい, 2)漢江を除き水不足の年発生確率が40~90 %で利水安全度が低く, 近代前期で夏期渇水時流量をほぼ使いきって灌漑田が開発されていた, 3)漢江の利水安全度が高いのは, 治水等の問題で開発できる水田が限られたためと推察された, 4)利水安全度が低い灌漑田と天水田が多かった背景要因として, コメ需要に対する安定的な夏期渇水時流量の少なさが推察された.
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© 2017 公益社団法人 農業農村工学会
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