2018 年 86 巻 2 号 p. I_155-I_161
本研究では,施設の機能診断と改修・補修による老朽化施設の長寿命化を目的とする多面的機能支払交付金が,関連産業の需要を通じて地域経済に波及する効果を定量的に評価する.住民自ら整備を行う場合(自主施工)と建設業者への工事発注による場合(建設補修)の交付金支出内訳データを用いて,47都道府県の地域間産業連関表にもとづく産業連関分析を適用して後方連関効果と所得連関効果を算定した.その結果,自主施工型の方が生産波及効果の総額は小さいが,活動実施市町村内での効果発現率が高いこと,付加価値誘発額のうち実施市町村内での発現率は,交付金支出額の30~32%(自主施工)及び27%(建設補修)になることが明らかとなった.