農業農村工学会論文集
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研究論文
蒸発過程にある黒ボク土中における硝化を伴う窒素の挙動解析とATP量測定
武藤 由子堂山 貴広中西 真紀渡辺 晋生
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2019 年 87 巻 2 号 p. I_281-I_288

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抄録

体積含水率(θ)の異なる黒ボク土で硝化のバッチ試験を行い, 測定したアンモニア態窒素(NH4-N)の減少と硝酸態窒素(NO3-N)の増加を一次反応式で表した.硝化の反応速度定数(µ)はθの高い条件で大きかった.また, 一次元カラム蒸発実験で, 硝化と水分移動に伴うNH4-NとNO3-Nの挙動を調べた.硝化によってNH4-Nは全層でほぼ消失し, 生成したNO3-Nが蒸発による水分移動で上層に移動した.NH4-N消失量は, θが高い実験の初期で多かった.次に, カラム蒸発実験の結果を数値計算で再現した.この時, 定数µを用いた計算によりカラム実験を概ね再現できたが, バッチ試験の結果を考慮してµθの関数として与えると再現性が向上した.また, 土壌微生物活性の指標であるATP量はµの大きい条件で大きく, 比較的測定が容易なATP量からµを推定できる可能性が示された.

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© 2019 公益社団法人 農業農村工学会
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