本研究では,土地改良区職員による水利施設管理の労力を定量的に実測・評価することを目的として,水田パイプライン灌漑地区における施設の分布状況,施設管理時の作業内容,作業量および移動量を把握した.職員が管理する167箇所の水利施設における1日当たりの平均作業回数は17回/dであり,平均作業時間は1.5h/dであった.職員が最も多くの作業量を要した施設はポンプ配水施設であり,全作業量の約5割を占めた.一方,全作業内容の中では配水調整に最も多くの作業量を要しており,この作業は1回当たりの作業時間が短く,作業回数が多い特徴を有していた.このため,調査対象の土地改良区において施設管理の省力化を図るためには,ポンプ配水施設等における配水調整の作業量の抑制が有効であることが明らかにされた.