積雪寒冷地の水稲栽培において春季の作業量分散を可能とする技術として,初冬に種籾を直播し,圃場で越冬させてイネを栽培する初冬直播き水稲栽培が提案されている.本研究では,初冬直播き水稲栽培における出芽の安定性向上のため,圃場の耕起法や鎮圧有無の相違が消雪後の種子周囲の土壌水分状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.粘土質の圃場において春季の過乾燥に対し成長阻害水分点以上の土壌水分を保つには,浅耕を適用し,さらに耕起を2回実施し土塊の破砕を促進して圃場の保水性を高めることが効果的である.また春季の消雪後,圃場の乾燥時に鎮圧を行うことも種子の乾燥を防ぐために有効である.一方,消雪後の表層土壌の過湿が種子の生存率や出芽率を低下させる場合は,表面数cmの浅耕ではなくより深い耕起深とし,種子周囲の排水を促すことが有効である.