1994 年 1994 巻 174 号 p. 103-110,a2
開水路非定常流計算により,潮汐の影響を強く受ける低平地での流出解析の可能性を検討した.対象流域は岐阜県の高須輪中で,輪中内の水田・畑・宅地などは多数の地表タンクで,地下水は数個の地下タンクで表現し,それらを樹枝状の排水路で接ぎ合わせて流域をモデル化した.タンクや排水路内での水の動きは,Saint.Venant方程式を陰差分法のPreissmann Schemeを用いて離散化して計算した.その際,水利施設等は,多数の内部境界条件で表現した.また,追跡期間は2カ月間であった.その結果,従来,タンクモデル等の貯留モデルでは難しいとされていた感潮低平地においても,十分な精度で解析可能なことが判明した.