潮差の大きい強混合型の感潮密度流は,1潮汐周期間の遡上・流下の流況変化が著しく,多様な2成層流形態および密度界面の消長が見られ,安定性や特異点の解析理論との整合性が明らかでない.本研究は,肱川感潮域の観測結果に基づいて,流速および密度の鉛直分布形状を勘案した連続的な8種類の密度界面の識別アルゴリズムを考案した.
これを用いて,経時的に遷移する6種の2成層流パターンを特定し,新たな計量法によってそれらの水理特性が特徴づけられ,各成層機構の区分が統一して説明できることを明らかにした.すなわち,固有関数を含む安定係数と質量欠損則の準用によって,遷移の速い流況を合理的に識別し,2種類の摩擦損失係数の評価可能範囲を明示した.