抄録
温度ひびわれを制御するためには, コンクリート内部の温度履歴を的確に把握しなければならない. そこで, 適切な断熱温度上昇実験式が必要になるために, 周囲温度が一定の実験室内で製作した構造物供試体の実測温度から, 3次元有限要素法を用いて断熱温度上昇曲線の定数を逆解析した. しかし, 周囲温度が低い場合において, この逆解析値を用いた解析値と実測値の問にかなりの差異が生じた. 本論では, 周囲温度が低い場合における断熱温度上昇実験式を提案し, 温度解析を行った. その結果, 温度ひびわれの発生が予想されるピーク温度からの温度降下過程でよく一致することが判り, 新しく提案した実験式の適用性を明らかにすることができた.