抄録
明瞭な浸潤前線を伴う降下浸潤過程において浸潤前線が不安定となる条件では, fingeringと呼ばれるfinger状の水浸入現象が生起する. この現象の物理的特徴を明らかにするために, ガラスビーズを用いた細/粗成層浸潤実験を行った. 下層が最初に乾燥しており浸潤前線不安定化の基準が満たされていれば, 下層において明瞭なfingerが成長することが確認された. 一方, 下層が最初に湿っていると, 湿潤部分の形状はfinger状よりむしろ波状となった. また, 初期乾燥条件で生起する典型的なfinger成長過程においては, 層境界の水圧は下層浸入開始時に最高値をとった後, finger先端の降下に伴って低下した. さらに, finger内は飽和ではなく, 封入不飽和状態にあると推察された.