抄録
湧水のある農地での地下水環境は、三次元的なものである。そのため、土地改良設計基準などで示されている通常の二次元解析にもとついた解析では、近似的な結果しか得ることができない。本論文では、暗渠の奥行きを考えることにより、農地における地下水環境を三次元サンドモデルにより検討を加えた。実験は、暗渠の間隔 (X方向埋設率) と奥行き (Y方向埋設率) を変化させ、定常状態における自由地下水面の全体的な傾向をもとめた。
実験の結果から、暗渠の奥行き方向の長さが自由地下水面に大きく影響を及ぼしていることを示し、三次元解析の必要性を明らかにした。また、暗渠のX方向埋設率=0.5~1.0とY方向埋設率=0.6~0, 8に暗渠の排水効果が大きく低下する埋設率が存在し、X方向埋設率器0~05、Y方向埋設率=0.8~1.0という条件を満たすように施工すれば、湧水個所の直上に暗渠を設けた場合と同等の湧水処理効果が得られ、平均地下水位の変動がほとんどないことを示した。この結果から、湧水個所に対してある程度の自由度をもって暗渠を施工することが可能であることを示した。