本研究は, 地表面近くの浅い位置に埋設されるパイプラインを対象に, 地下水の上昇に伴うパイプラインの浮上メカニズムの解明と浮上防止工法の開発を目的として, 口径1100mmのパイプを用いた実証実験を実施し, その適用性を検討したものである.浅い埋設状態で大きな浮上抵抗力を確保する方法として, ジオグリッドによる埋戻し材料の一体化を利用した浅埋設工法を提案し, その有効性を明らかにした.その結果, 埋戻し材料に砕石やソイルセメントを用いてジオグリッドで包み込む浅埋設工法は, 土被り0.0mという極めて浅い状態までパイプが浮上しないことを明らかにした.また, パイプ浮上時に発生するジオグリッドのひずみは, ジオグリッドの許容引張り強度の1/3程度で, ジオグリッドが埋戻し材料の変形を抑制するためにパイプ全体の浮上に要する時間が長くなるなどの効果があることを示した.