農業土木学会論文集
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モンモリロナイト懸濁液の流動特性の塩濃度依存性
嵯峨 美由紀石川 奈緒藤井 克己藤崎 浩幸
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2001 年 2001 巻 212 号 p. 105-112,a1

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抄録

膨潤性粘土であるモンモリロナイトの懸濁液は, 高いチキソトロピー (揺変性) を示すことが実験的に明らかにされてきている.ただし, これは粘土懸濁液の間隙溶液の溶質の種類や濃度などにより, 著しい影響を受けるため, 懸濁液の粘性率変化について包括的なモデルを組み立て定量的に解析する試みは, 現在においてもまだ十分に進展していない.
本研究では, NaCl (塩化ナトリウム) を懸濁液の溶質とし, 0.001N (1mN)-NaClから0.3Nまでの節囲に塩濃度を設定したモンモリロナイト懸濁液について粘性率の変化を測定した.ここで固相率は0.2%きざみに1.4~22%の範囲とし, 懸濁液の作製方法による相違についても影響をみた.測定結果は粒子構造間のリンクの成長・破壊のバランスによりチキソトロピーが生ずるとするMooreのモデルを用いて検討した.
流動曲線 (せん断応力と速度の関係) をプロットするとき, 速度の上昇下降で全ての結果にヒステリシスがみられた.特に上昇過程で生じたせん断応力の時間的な減少は, チキソトロピーの大きな特徴といえる.ただし塩濃度0.1Nではヒステリシスが逆回りとなる逆チキソトロピー現象が観察された.これは上昇過程でリンクの成長, 下降過程で破壊が生じていたと解釈できる.さらに流動曲線に現れる降伏値に着目し整理すると, これは固相率の増加に伴って増加し, また作製方法に対しては高濃度程大きな影響があると認められた.

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© 社団法人 農業農村工学会
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