抄録
ダム貯水池への流入河川の流況が確率的に評価できれば、水源域における水資源の持続的管理や利水計画の策定に際して好都合である。本研究では、確率流況曲線を定義して、それを東日本に位置する5ダム流域に適用し、その有用性を検討してみた。任意流況区分において抽出された対象年数2V年分の流量データの分布は、対数正規分布で表現されうる場合が多いが、年最小流量の分布の中には、ワイブル分布の適用が適切であるものもある。生起確率をパラメータとする確率流況曲線を活用することにより、水源域からの流入河川の流況が確率的に評価できることを示した。また、10年確率渇水量 (355日流量) は渇水の評価指標の一つとして期待できることを示した。さらに、流況曲線の形状特性についても考察した。