農業土木学会論文集
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実降雨のパターンを考慮したため池の洪水調節機能評価
加藤 敬佐藤 政良太田 高志
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2002 年 2002 巻 222 号 p. 645-651

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抄録

ため池がもっ洪水ピーク低減機能は, 降雨のパターンによって大きく影響を受けるため, ため池が発揮する洪水低減機能の実際を評価するためには, 実降雨のパターンを分析する必要がある.本報では, 大阪府の松沢ため池 (集水面積1.13km2) における7年間の10分間雨量の記録を対象に, 統計学上の概念であるひずみ度を降雨パターンに適用して実降雨を分析し, 降雨パターンとため池の洪水調節機能の関係について検討した.検討の結果, 比較的大きな一雨降雨については, ほぼ中央山型の降雨分布と見なしてよいこと, 一方, 総雨量50mm以上の降雨のピーク付近を取り上げると, ピークより前に雨量が多い例が多いことを明らかにした.これに基づき, ため池の洪水シミュレーションを行い, 貯水池の水位低下管理が洪水ピーク低減効果の増強にとって有効であると判断した.

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