抄録
在来種であり, 視界を遮らない草高であるカサスゲ, アゼスゲ, クサヨシを対象に取り上げ, その汚水への適応性と水質浄化能力についてヨシと比較した. その結果, カサスゲは比較的汚濁負荷の高い条件においても生育状況は安定していた. TNにおいては, カサスゲはヨシの約7割程度の浄化能力であつたが, 根系への酸素供給による硝化を示唆する結果を得た. TP, COD, BODにおいては, カサスゲとヨシはほぼ同等の除去速度となった. また, カサスゲの地上部に固定された窒素, リン含有率の季節変動は小さく, 地下茎に転流されずに維持される性質が示唆された. したがって, カサスゲは比較的汚濁負荷の高い水においても水質浄化機能が期待でき, 景観形成や維持管理において有利な種であることが明らかになった.