農業土木学会論文集
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汚泥層の透水性及び窒素除去能力
硝酸性窒素汚濁水の浄化技術開発に向けての検討
山岡 賢凌 祥之上田 達己
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2006 年 2006 巻 243 号 p. 361-369

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抄録
畑地等からの硝酸性窒素 (NO3-N) 汚濁排水の浄化技術として, 著者らは農業集落排水施設から排出される汚泥を層状にして用いる方法を考案している.本論文では, 汚泥層によるNO3-N除去能力に関する項目を調査した.水処理プロセスから引き抜かれ数ヵ月を経ても汚泥は, 106MPN・g-1MLSS (MPN: 最確数, MLSS: 活性汚泥浮遊物質) 以上の脱窒菌数, 20℃で5.9~16.8mgO・g-1MLVSS・d-1 (MLVSS: 活性汚泥有機性物質) の酸素消費能力, NO3-N濃度10mgN・l-1で0.76mgN・g-1MLVSS・d-1のNO3-N除去能力を有していた. これらの値はいずれも畑土壌の値を大幅に上回り, NO3-N除去資材としての汚泥の有効性を実証できた.また, 含水率96%程度で形成された汚泥層の透水係数は, 10-6cm・s-1 (20℃) 程度と粘土の透水性と同程度であった.このことから排水が汚泥層を浸透する間に脱窒反応時間が確保できる.
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© 社団法人 農業農村工学会
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