農業水利施設の機能診断では, 本来施設が発揮すべき性能と既存施設の現状性能との差を評価した上で, 補修や補強による延命化を図るのか, 更新するのかを決定することが要求される. そのためには, 農業水利施設に発生している変状が経年的に進行するかをモニタリングし, 性能の低下を適切に評価することが不可欠である. 筆者らは, 開水路や水路トンネルの変状をデジタル情報として迅速かつ効率的に記録できる農業用水路壁面画像連続撮影技術および水路トンネル覆工背面の地山強度を簡易に測定できる技術を開発した. 規模や形状の異なる農業用水路において実証試験を行った結果, 本調査システムは, 農業用水路の壁面情報を効率的かつ高精度に記録できること, また水路トンネル覆工背面の情報を簡易に把握できることが示された.