2011 年 21 巻 2 号 p. 197-204
筆者は2003年にトムソン・ロイターのデータベースを利用して,2000年時点において,わが国の学術論文がどの程度わが国の学会誌に掲載されているかの推計調査を行った.そこでは海外流出率約80%という数字が得られ,これを「改善」するべく,国立情報学研究所では国際学術情報流通基盤整備事業SPARC Japanも開始された.今般,その後の状況を確認するべく,改めて1994年~2009年の間の関連統計を得るべく時系列的な推計調査を行った.結果として全般的には,海外流出率は若干「改善」の傾向にある一方,わが国の学会誌における海外著者の論文の著しい増加,すなわち「国際化」の顕著な進展が観察された.本稿ではこれらの点を中心に,分析結果を報告するとともに,学術研究における国際化あるいは研究の「自給率」というべきものについて検討を加えるものとする.