本研究では,レビュー文を外部データとして活用し,Retrieval-Augmented Generation(RAG)技術を実装した大規模言語モデルを用いたコスメ推薦システムを構築する.RAG では,まずベクトル検索によりユーザーの問い合わせに関連するレビュー文を検索し,それを基にLLM が推薦理由や商品説明を生成する.しかし,一般的なベクトル検索のみでは,検索されたレビュー文が特定のアイテムの人気度やおすすめ度を十分に反映していない場合があり,推薦理由として説得力に欠ける可能性がある.そこで,本研究ではベクトル検索に加えて,「二部グラフ検索」という新たな仕組みを導入する.この手法では,検索されたレビュー文に加えて,当該アイテムに対する他の関連レビュー文や,検索されたレビュー文を投稿したレビュアーが他の商品について投稿したレビュー文も考慮する.これにより,アイテムに対する多面的な評価をより深く考慮できるようになり,ユーザー満足度の向上が期待される.実データを用いた評価実験では,ベクトル検索のみを用いた推薦システムと比較して,検索結果に基づく推薦理由の説得力が向上し,ユーザー満足度を高める可能性が示された.
2001 年から始まったインターネット上の百科事典であるウィキペディアに、筆者は2016 年から記事を書き始め、その経験をまとめた本を2023 年に上梓した。また画像や音声を集積するウィキメディア・コモンズなど、ウィキペディア以外のプロジェクトにも参加し、そうしたプロジェクトを総称するウィキメディア・ムーブメントに関わる中で、世界中のウィキメディアンとの交流が始まった。本稿は、ボランティアの協働により推進されているこのムーブメントに筆者が如何に魅せられていったか、また2025年の図書館総合展にどのように出展するに至ったか、という経緯を示すものである。(2025 年10 月8日紀伊國屋書店新宿本店で開催の卓話会講演に加筆)