情報知識学会誌
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特集 第23回(2015年度) 年次大会(研究報告会&総会)
義の訓練としての聖書 -聖書の検証可能性について-
安平 哲太郎
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2015 年 25 巻 2 号 p. 208-219

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抄録

 現実を生きる我々にとって重要な事は、誤った行為を行った時、そこで要求されている正義がわかる事である。本論文では聖書をいくつかの特徴から「個別の著者の思惑や意図を超えて神が編纂され、人類の成長をテーマにした『神の創造による天地から新しい天地の創造』までの物語をもち、その中に現実に神が人間に要求する正義がちりばめてある書物」と理解した。その結果、現実に神が人間に要求する正義は現実に対する問題意識と聖書に記述される義との類似性によって、聖書の文脈から離れて現実の文脈の中での意味をもって見出される事が理解される。今回3 つの具体例を用いて聖書を参考にしながら現実に神が要求する正義の流れが存在すること、およびそれに対する人間の側の応答である現実の流れが存在する事を明らかにした。最後に、このような神の働きを科学の原則に従いながら記述する事のできる方法論で議論できる場を、科学の方法論に習熟した学会がもうける必要性について指摘した。

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