情報知識学会誌
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学術文献における引用分類に関する諸課題
柴田 大輔芳鐘 冬樹
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2020 年 30 巻 3 号 p. 328-348

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抄録

 本研究では,学術論文の引用を分類する際の課題について,分類実験を通して明らかにした.意義的,評価的,機能的,位置的観点それぞれから分類する際の区分肢を設定し,医学系原著論文30編から抽出した1,103箇所の引用に区分肢を付与する実験を行った.観点ごとの課題として,(1) 意義的観点は,引用箇所の周辺文を含む範囲の文章量が判断に必要であること,(2) 評価的観点では,間接引用であっても文中の肯定・否定の判断は可能なものの,周辺文まで考慮すると付与される区分肢に差異が生じうること,(3) 機能的観点では,区分肢同士の排他性を確保しにくく位置に依存する区分肢も存在することを見出した.また,判定に用いる文章の範囲が広ければ精度が上がる場合と,広さに関わらず判定できない場合があることを見出した.

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